2007年4月24日火曜日

これが保育施設?

4月24日は仙川の音楽芝居小屋、そして仙川保育園の複合施設の内覧会に参加しました。都道に面した通りに立った時、このモダンな建物全体を外から見ると誰も保育園が建物の中に存在していることなど気づかないと思います。
この施設は私が予算反対の理由のひとつにも挙げた都市

 調布市ではノーマライゼーション理念のもとに福祉のまちづくりを推進しています。今回交通バリアフリー法を受けて京王線連続立体交差事業と一体となった交通環境のバリアフリー化も含め、調布市交通バリアフリー基本構想を高齢者、障碍者等の当事者も含め様々な関係者の参加して策定しました。この政策は地域に住む高齢者、障碍者等の社会参加の実現も大きな目的です。この考えの基本には駅と公共施設等を結ぶ経路も含めたバリアフリー化があります。公共交通にもこういった考え方が入ってきた時代背景を考慮すれば、新規の公共施設は今まで公共施設で指摘されてきた当事者の声を反映して建設されるのは当然だと思います。

しかし、現実にはこの建物に面した歩道は障碍者に優しくないモザイク模様でした。弱視の人には戸惑う仕様です。ホールの建物内のトイレなどの表示板はグレー系で統一されていましたが、これも高齢者や弱視の方にはわかりにくいものです。この件は、すでに文化会館たづくりで指摘されているはずです。又、トイレは全て洋式でしたが、不特定多数が利用する施設では一カ所は和式をと求める声も聞きます。

 私はそもそもこの施設建設の合理性と緊急性も含め、その合意形成過程も含めただ一人一貫して反対してきました。
3月予算議会では、それにしても保育園については、建て替え時期に満たない施設の新築でもありますが、進められている施設建設を考慮して、せめて子ども達にとって安心して、快適に過ごせる施設をと願い、厚生委員会審議で保育園の整備状況について詳しく質疑しました。委員会審議が進むなかで、設備面での安心安全面への配慮に欠いた整備状況が見えてきた事もあり、施設の改善を求めて提案もしてきた経過があります。実際に今回建物内を視察してみると思った以上に、今だ安全な施設と言うにはほど遠い現状に衝撃を覚えました。

後日、担当者からは今後も建物内部は細部について改善するべく手を入れていく予定との事も聞きました。保育園施設の玄関でもあり、下駄箱もある廊下では、誰もが当たり前に子どもたちは遊び場のひとつとして駆け回るだろうと予想できると思いますが、ここは「たんこぶ」を作ってしまいそうな廊下側の壁には窓一つないコンクリートの打ち放しの塀のような固い壁が続いています。傾斜面の多い壁際、外の風景が見えないシールを張り巡らした天井まで届く窓。緑化推進しているはずの市が、公共施設の緑化面積が足りない部分を補うために造成したはずの屋上緑化は、子ども達は見ることも触れることもできない三階の育児相談室窓からしか眺められない不思議な設計でした。グレーな色調のトイレ。廊下に立ってみると、コンクリートの壁が続き、それぞれどの部屋か分からない役に立たない保育室の壁に密着して据え付けられた案内板等、これが子ども達が一日の大半を過ごす施設なのかと思うと理解に苦しむ箇所が沢山あり、胸が痛みました。

市の施設に対する意向と設計関係者との摺り合わせに時間をかけてきた経過もあるようですが、3月の予算委員会での審議はなんだったのかと今だこの状況には、ため息が出ました。既存施設よりも3倍近い面積になったと聞いていたのに、定員は10名の増加しか見込めないなど、多額な税金を投入して新築した保育園施設ですが、保育園という施設が求めている点を何故指摘されなければ手直ししされないのか理解に苦しみます。最終的にはどのような仕上がりになるのか不安です。
 昭和40年代に建設された老朽化した保育園がカーテンが古くなったり壁が汚いなど切実な声を聞けば聞くほど、ここにかけるお金があったらどれだけの保育園が改修できたかと思うと悔やまれます。調布市として子どもにとって理想的な保育施設について、一貫性のある考え方を持って施設建設に当たっているのか、福祉のまちづくり条例という視点も含め、バリアフリーの視点は道路、建物も含め公共施設建設時に実践していく方針は貫かれているのか等疑問が浮かんできます。
税金を使った政策の優先順位を見誤った結果、今回犠牲になったのは子どもたちです。この施設も市が借金をして建てたものです。子どもたちにツケをまわすに値する施設か問われる所です。子ども達が入所するまでに安全性が確保されるように、引き続き声を挙げていきます。