2004年8月13日金曜日

アサザプロジェクト・子ども達に夢ある未来

 12日に、友人に誘われて、日本税制改革協議会主催の、NPO法人アサザ基金が展開しているアサザプロジェクトの現地視察に参加しました。アサザプロジェクトは最終目標は100年後まで設定されていて、最後には霞ヶ浦にトキが舞う湖にするのが夢だそうです。ここでは小学生から高齢者まで、誰もが参加できる霞ヶ浦・北浦流域の自然再生事業も行っています。アサザプロジェクトのなかには、流域の小学校を中心に170校が参加してアサザ、マコモなどの在来水草を育てる里親となり、湖岸に受け付けるなどして流域全体に広がる自然再生事業の拠点になっていて、小学生による公共事業といわれるほど、子どもたちが重要な役割を担っているプロジェクトがあります。市民は他に、水源の森林・里山の手入れをしたり水草の植え付けなどの活動の応援もしているプロジェクトもあります。

今回は広い範囲の事業の中でも、学校ビオトープと、ITを組み合わせた、環境の変化を継続的に観測する拠点として活用しようという試みのエコセンサーが設置されている石岡市立石岡小学校、休耕田活用オニバスビオトープ、河川環境改善や、谷津田保全地区の見学、ため池ビオトープ、常陸川水門など様々なプロジェクトの現地視察をしました。夏休みの時期だったので、数人の子どもの参加もあり、途中でオニヤンマやトノサマバッタなどにも出会い心躍る視察でもありました。ここで進められているプロジェクトは子どもたちも重要な役割を持っていますが、学校ビオトープは驚くほど安価で作れる話や、そこではトンボが飛び交い、メダカ、タニシも見られ、わずかな面積でも自然に触れられることや、ただ触れるのではなく、そこで育った水草が霞ヶ浦再生の一翼を担っているという総合学習でもあり、今まで視察したどのビオトープより身近な感じがするのに、かつ壮大な流れになっていることは驚きでした。

  今まで日記にも書いてきましたが、こどもたちが自然も含め直接体験の不足が、心の危機にも繋がり様々な胸の痛む現状になって現れていることを書きました。ここでは彼らは重要な役割を果たしつつ、地球環境という問題も自分達で実感できるという環境にあります。私たち大人が子どもに残すのは借金ではなく、美しい日本の環境、それらを育んでいく心も併せて考えると、私たち自身が日々の生活の中で今の社会をどう捉えているのか、そしてこどもたちと何を育んでいきたいのかという根本的な問題意識を持ちました。

谷津田の保全から酒米づくり、そしてそれが地酒に。また田植えは企業ボランティアによる田植え、そこで採れたお米で酒造り、水源の森の手入れからは炭づくり。在来魚を保護するために外来魚を捕獲し肥料にして有機肥料に活用。工事に伴う掘り出したヨシは、川の植生復元に活用。こう書いていくと、ただ声高に環境保護を訴えるのではなく、様々な場面で皆が幸せになる仕組み、まさに循環型社会を実践していくことが具体的に地域環境、日本の環境、そして人の心も守り育てていくことなのだ感じました。代表理事の飯島さんが生活者の感覚で、とお話されていましたが、100年後まで考えるビジョンを持った活動と、日常生活に根ざした活動のバランスの良さにも驚きました。

  最後に訪れた常陸川水門は30年間閉じられたままだそうです。そこでアサザ基金は人も魚も湖も喜ぶ水門の柔軟運用を提案しているそうです。完全封鎖されていることから湖も瀕死の状況が続いているので、農業用水を塩害の心配のない上流に移動すれば可能になる簡単な方法を提案しています。その提案は経済効果も含めて具体的に示されていて、そのことによりヤマトシジミも復活するというものです。今回の視察では市民公共型事業は、従来の公共事業では縦割り、地域割り、年度割りという弊害でなかなか自然環境を維持していくために役立つ事業ができなかった課題をクリアして市町村、企業、など様々な広域ネットワークを結んで効果を上げていました。私はここに自治の時代の公共の持つ新しい概念を見た気がしました。